認知症・全盲・一人暮らしのご婦人を配慮した住宅改修(8)
2011.06.16
認知症・全盲・一人暮らしのご婦人を配慮した住宅改修(7)の続きです。
■お風呂までの移動
転倒が原因で、入浴への恐怖心が湧き、入らない間に
ポリ浴槽に穴があき、入浴不能となりました。
自宅での入浴をしなくなって2年が過ぎています。
娘さんは母親の清潔感が薄れていっている事への危惧をお持ちでした。
何とか、一人で入浴できるようになってほしいと願っておられます。
現在、デイサービスの他に、娘さんのマンションで入浴なさっておられます。
娘さんのマンションでは、お一人でも入れるようにまでなられておられます。
そこで、給湯リモコンや浴室内のカランはマンションと同じものにしました。
洗い場内は這って移動されますので、冬寒くなく、膝が痛くないように
マットを敷き詰めました。
洗い場はバリアフリーにしていますので、グレーチングの排水機能が機能するようにメッシュタイプの穴あきシートを敷きました。
浴室へのルートは身体が覚えておられますが、自宅でのお風呂の習慣が
失われておられますので
ある部分これからの構築になります。
娘さんと協議し、浴室の出入り口を今までと逆にしました。
理由はふたつです。
・ 自宅での入浴習慣が無くなったお母さんに、習慣復活させるためには
当分の間は娘さんが来られた時に一緒に入浴する。
・ 自立した入浴ができるようになれば、以前はベッドで脱衣し、それから
裸のまま移動し、入浴していたので、ベッドから浴室までの最短距離を
今回、理解してもらえれば、本人も楽になる。
途切れた生活習慣を逆に利用する試みです。
浴室内洗い場のカランまでは恐らく這って行くという推定をしました。
そこで体を洗い入浴、逆の動きで必要と思われるところに
タテと横の手すりを設置しました。
洗い場で体を洗い、カラン横のタテ手すりで立ち上がり
横手すりを頼りに、浴槽の縁をまたぎます。
次にくるタテ手すりを握りながら、浴槽に身を沈めます。
浴槽内での移動は浴槽に添って設置してある横手すりを移動
お風呂から上がる時はその逆。
洗い場に座り体をふきあげる。
お風呂からあがる時、立ちあがりたい時は、出入り口脇にある
タテ手すりを利用する。
現在、娘さんとの入浴練習が続行中です。
浴室まで来られたら、よく室内の動きはとてもスムーズだという事
安心しました。
後の課題は
娘さんのマンションでは使用できる給湯リモコンと同じタイプの
自宅内での操作
そして、浴室の出入り口が逆になっている事への理解です。
自立した入浴が実現しますように祈ります。
■ 洗濯の動線
洗濯はずっとご自分でなさっておられました。
しっかりと生活習慣に根付いておられますので、方向性は変えません。
以前と同じ方向にどんどん進み、その突き当たりに洗濯機がある。
このパターンを変えないようにしました。
ショートステイから帰られた直後から、洗濯はスムーズになさって
おられます。
■ 物干し動線
洗濯・脱水後、南側廊下で干す習慣もしっかり根付いておられます。
以前は天井から下がってきている物干し竿に干されていました。
その状況が非常に不安定で危険でした。
危険なので、寝室内で干すように何度も娘さんからお母さんへの
説得がありましたが
お母さんにとって、洗濯物は南側の廊下に干すものが
「世界の決まり」でした。
そこで廊下移動と縁側サッシへの転倒防止も兼ねて
サッシに添って、自立式手すりを設置しました。
この手すりを物干しとして活用されるように提案しました。
結果は
ショートステイから帰られてから、すぐに理解され、活用されておられます。
やはり、ご本人も不安定な体制で洗濯物を干されるのは
相当に恐怖心を抱きながらなさっておられた事と思います。
頭で理解されたというよりは
身体が安全な方を求めた結果ではないかと思います。
■ 洗面・入れ歯洗いの動線
起床し、這って台所まで行き、台所に新設した自立式手すりをつかみ
立ち上がります。
自立式手すりを活用し、さらに先へ進みます。
4帖(食堂)と台所の段差がなくなりましたので、スムーズに行くかと
思っていましたが、過去の恐怖心がぬぐえず、未だにおっかなビックリでの
移動です。
安心である事を身体が覚えるまで、あと少し時間が必要なようです。
■ 食事の動き
食卓と電子レンジオーブントースターが段差無しで利用できる
横並び。
冷蔵庫は振り返るとすぐに手が届くポジション。
この配置はすぐに理解されました。
ご本人。とてもご満悦です。嬉しいです!
■ お仏壇への祈り
お仏壇前にタテ手すり一本あるだけで
祈る時間が増えたとの事。
座位が安定し、立つ事もできる。
ご本人にこの事が良いように働くことを祈ります。
新生活は始まったばかり
この住宅改修がどこまで、ご本人の自立度を高める事ができるか
時々、娘さんがおられる時に訪問し
様子を見ていきたいと思います。
【このような場合の相談料について】
3,000円/2時間+交通費実費
その後、設計監理・契約に至った時は
相談料は発生致しません。

